――「言わなきゃよかった」と思ったあと、それでも会いたいと思った。
アニメ『薫る花は凛と咲く』第3話。
心がすれ違うことの、こんなにも静かな痛み。
そして、すれ違ったまま終わらない関係の“尊さ”が、そっと描かれていました。
たぶんそれは、まだ名前のついていない気持ち。
優しさに触れたくて、でもうまく言葉にできなくて──それでも、もう一度ちゃんと向き合いたくなる。
今回はそんな“誰かを大切に想うとき”の不器用さを、そっと掬い取るような回です。
- アニメ第3話で描かれた山田と凛のすれ違いの理由
- 猪上と大井の関係が山田に与えた影響
- 「また、明日」に込められた静かな希望の意味
第3話あらすじ|“少しずつ近づく”ことの難しさと温かさ
山田が凛にまた声をかけた朝。
返ってきたのは、あの日と同じ「ごきげんよう」。
でも、どこか少しだけ、彼女の声が遠く感じられた。
それはきっと、「無理させてしまったかも」という山田の一言が、凛の心に残っていたから。
誠実でありたい気持ちが、かえって距離を生むこともある──
この回は、そんな“正しさが人を遠ざけてしまう”もどかしさを、静かに描いています。
教室で、廊下で、放課後の階段で。
ふたりの言葉がちぐはぐにすれ違いながらも、
それでも目線は、どこかまた交わろうとしていた。
中でも印象的だったのは、猪上と大井のやりとり。
どこか不器用で、それでも自然に隣にいるふたりの姿が、
山田の中に、小さな“答え”の種を蒔いていく。
少しずつ近づくって、思っているより難しい。
でも、そうして悩んでくれる人がいることが、
きっと誰かにとって、温かい記憶になるんだと思う。
「無理させたかも」の一言が、ふたりの距離を揺らす
ふたりの時間は、確かにあったはずなのに──。
ほんの一言で、その温度が少し変わってしまうことがある。
「無理させたかも」──山田が凛に向けて言ったその言葉。
それは気遣いであり、誠実さの表れだった。
けれど凛にとっては、自分の存在が“負担だったのかもしれない”という不安を残してしまう。
言葉は、やさしさを運ぶものでもあるけれど、
時には、沈黙以上に相手を遠ざけてしまうことがある。
山田の真面目さが、皮肉にもふたりの距離を引き離してしまうのです。
だけど、それは後悔だけじゃない。
“近づこうとしたからこそ、ぶつかった気持ち”がここにはあって、
だからこそ、まだふたりの物語は終わらない。
この場面には、“伝えたいと思う気持ちの重さ”と、
“伝わらなかったときの痛み”が、
そっと、でも確かに折り重なっています。
教室、廊下、放課後。言葉にならない気持ちが交差する
目が合ったとき、ふたりとも少しだけうつむいた。
話しかけたい。でも、何をどう言えばいいかわからない。
そんな時間が、この回にはいくつも流れています。
教室では、凛が話す声にどこか迷いがあって、
山田はその沈黙の意味を測りかねている。
廊下をすれ違うときも、ふたりは何も言わない──けれど、
その無言の一秒一秒に、たくさんの「言いたい」が詰まっている。
放課後、階段で立ち止まる凛の背中に、
山田はそっと声をかけようとして、できずに終わる。
この「届かないけれど、手放したくない距離感」が、
胸に残るのです。
たぶんふたりとも、正解を探していたわけじゃない。
ただ、相手を嫌な気持ちにさせたくない。
それだけで十分、心は動いていた。
言葉にならない気持ちは、届かないんじゃなくて、まだかたちになっていないだけ。
そんな余白を、丁寧に映してくれる時間でした。
猪上と大井の“友達以上”が、山田にくれた小さな勇気
恋愛とも、友情ともつかない。でも明らかに、特別な関係。
猪上と大井のやりとりには、そんな不思議な温度が流れています。
じゃれあいのようでいて、本気の気づかいがあって。
大井の照れ隠しの言葉に、猪上が静かに応じるその姿が、
山田の目に映ったとき──何かが、そっと動きました。
「自分の想いを、まっすぐ出すことは恥ずかしくない」。
ふたりの間にある信頼は、そんなことを教えてくれる。
誰かにちゃんと気持ちを伝えるって、
たぶん「うまく言えるかどうか」よりも、
「ちゃんとその人を見ているかどうか」なんだと。
だからこそ、山田はまた一歩、凛に向かって踏み出そうとする。
まだ勇気とは呼べないかもしれないけれど、
あのときの視線に、ほんの少しだけ未来が映っていた気がします。
「また、明日」──すれ違いの先に、ひとしずくの希望を
たぶん今日、ふたりはわかりあえなかった。
でも、それでも別れ際に交わされた「また、明日」の言葉。
それは“今度こそ”という、ささやかな約束だったのかもしれません。
山田のまっすぐな想いは、まだ凛の心に届ききってはいない。
凛のほうも、自分の不器用さに気づいていながら、どうすればいいのかわからない。
──そんな、“揺れているふたり”の間に落ちた言葉でした。
気持ちが通じ合ったわけじゃない。
でも、関係を終わらせなかった。
それだけで、今日という日は“意味があった”と言える気がします。
「また、明日」──それは、迷いながらも手を離さなかったふたりの、静かな選択。
約束にもならない言葉の中に、そっと希望が灯っていたこのラストシーンが、
この第3話を特別なものにしていました。
まとめ|“凛と咲く”とは、素直になる覚悟のことかもしれない
『薫る花は凛と咲く』第3話は、
言葉がすれ違い、気持ちがこぼれてしまう回でした。
でもそれは、本気で向き合おうとしている証でもあったと思います。
凛の戸惑いも、山田の誠実さも、
うまく重なり合えなかったけれど──
それでも最後に交わされた「また、明日」のひとことが、
ふたりの心が止まっていないことを教えてくれました。
“凛と咲く”って、強くいることじゃない。
素直になれない自分と向き合って、
それでも誰かに寄り添おうとすること。
その揺らぎのなかにこそ、本当の強さがある気がします。
今回のエピソードが、あなたの中の“まだ言えない想い”に、
少しだけ優しい風を送れたなら、嬉しく思います。
- 山田の一言が凛の心を揺らすきっかけに
- 教室や廊下での沈黙がふたりの距離を映す
- 猪上と大井の関係が山田の背中を押す
- 「また、明日」に込められた静かな約束
- “凛と咲く”とは、素直になる勇気のこと
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