アニメ『薬屋のひとりごと』は漫画版と小説版でどこが違う？原作との対応関係を徹底解説

「アニメを観終わったけど、この先どうなるの？」「漫画と小説、どっちを読めばいいの？」——そんな声を、僕は何度も聞いてきました。
『薬屋のひとりごと』という物語は、アニメだけでは語りきれない“余白”がたくさんある。だからこそ、小説と漫画という二つの原作に触れると、まるで別の深呼吸をするように、違う感情が胸に広がるんです。
この記事では、アニメ版がどこまで描かれたのか、小説と漫画では何が違うのか、そして続きが気になるあなたが“どこから”読めばいいのかを、丁寧に紐解いていきます。
キャラの心情、物語の行間、その一つひとつを、ただの情報ではなく“物語の温度”として受け取りながら読んでもらえたら嬉しいです。

薬屋のひとりごとアニメは原作小説のどこまで？

「アニメの続き、気になって夜も眠れない」——そんな気持ち、僕にも覚えがあります。
とくに『薬屋のひとりごと』のように、緻密な人間関係と繊細な感情の交差が見どころの作品は、「次に何が起こるのか」だけでなく、「あの人は何を考えていたのか」が気になって仕方なくなるんですよね。
では、アニメ版は小説のどこまで描かれていたのか？ そしてその“次”を知るには、どこから読み進めればいいのか？
この記事では、小説版との対応関係を丁寧にたどりながら、「まだ描かれていない猫猫の物語」への扉を一緒に開いていきます。

第1期は小説第2巻までの内容

アニメ『薬屋のひとりごと』第1期（全24話）が描いたのは、原作小説でいうと「第2巻の終わり」までの物語。
つまり、猫猫（マオマオ）が後宮の中で薬師としての頭角を現し始め、壬氏（ジンシ）との関係に小さな変化が生まれ始める、その“入口”までが丁寧に描かれていたわけです。

原作第1〜2巻は、まるで“プロローグの中のプロローグ”。
この世界がどんな風に機能していて、猫猫という存在がどんな視点でそれを見つめているのか。その全体像がゆっくりと描かれ、読者や視聴者に「これはただのミステリーではない」と思わせるまでの物語なんです。

そして、壬氏の瞳の奥にある影。
猫猫が抱えている過去の傷。
まだ誰も言葉にしていない感情が、アニメの第1期では“伏線”として静かに息づいている。原作を読むと、その一つひとつの意味がもっと鮮やかに見えてきます。

だからこそ、「第2巻まで」と聞くと少なく感じるかもしれないけれど、それは“深い海の浅瀬”を描ききったということ。
その先には、もっと濃くて、もっと痛くて、もっと美しい“人の本音”が待っています。

第2期は小説第3～4巻のエピソードを予定

アニメ第2期では、小説の第3巻〜第4巻に描かれたエピソードが中心になると見られています。
ここから物語は、いよいよ“表の事件”から“裏の関係”へと重心を移していきます。

小さな毒と、大きな嘘。
猫猫が巻き込まれる事件の数々は、ただの謎解きではなく、人の欲や悲しみ、そして壬氏の秘密へとゆっくりと繋がっていきます。

第3巻からは、後宮という閉ざされた世界の中で、それぞれのキャラクターが何を守り、何を諦め、何に触れたくないのか——その“心の輪郭”がはっきりと見え始めるんです。
猫猫自身も、単なる傍観者ではいられなくなっていく。彼女の無表情の奥に潜む、戸惑いや苛立ち、時にはかすかな憧れさえも、小説では細やかに描かれています。

壬氏の過去。
皇族の裏事情。
薬師としての倫理と、人間としての情。
それらが複雑に絡み合いながら、「誰も正しくない世界」で、猫猫がどう立っていくのか。

第1期が“日常の中の異物”を描いたとすれば、第2期は“日常そのものが異様だった”という気づきに踏み込む物語。
読み進めれば進めるほど、自分の中の何かが、静かにざわめいていく——そんな巻です。

薬屋のひとりごとアニメと原作小説の違いは？

「違い」と聞くと、どちらが上か下かを比べるような話に聞こえるかもしれない。
でも、『薬屋のひとりごと』という作品において、それは“視点の違い”であって、“優劣”の話ではありません。

アニメ版は、とても丁寧で見やすい構成でした。
キャラのセリフもテンポも整理されていて、ミステリーとしての展開も理解しやすい。猫猫や壬氏の声が乗ることで、彼らの感情がより明確に伝わってくる。
でも、だからこそ——原作小説を読んだときの“言葉にならなかった感情”には触れられないこともあるんです。

小説では、猫猫の“心の声”がもっと生々しい。
例えば、皮肉な独白の裏にある小さな痛み。事件の謎を解くたびに垣間見える、命に対する冷静さと優しさの入り混じった矛盾。
それは文字だからこそ、静かに響いてくる感情です。

アニメは「目と耳」で味わうもの。
小説は「心の中で反芻する」もの。
同じ物語を、違う感覚器官で受け取るからこそ、ふたつの体験は“補い合う関係”にあるのだと思います。

だから僕はいつも、こう言いたくなるんです。
「アニメで泣けたなら、小説ではもっと深くえぐられるかもしれませんよ」って。

キャラ描写や心情の深さに注目

『薬屋のひとりごと』という作品を語るとき、事件のトリックや世界観の設定ばかりが語られがちだけど——
本当に“心を掴まれる”のは、その奥にあるキャラクターたちの「言葉にならない感情」なんです。

猫猫という少女は、無表情で、冷静で、ちょっと棘があって。
でも、小説を読むと気づくんです。その背後にあるのは「無関心」じゃなく、「期待しないようにしてきた心」だってことに。

例えば、壬氏の言葉にほんの一瞬だけ心が揺れる場面。
あるいは、幼い妃たちに対する猫猫の距離感。
それはアニメでは台詞としては表れないけれど、小説では猫猫の内面として描かれている。彼女が“何を見て、何を見ていないふりをしているのか”が、ちゃんと伝わってくるんです。

壬氏だってそう。
彼の微笑みの下にある焦りや諦め、そして孤独。
アニメでは端正なビジュアルと声で“王子様然”として描かれているけれど、小説を読んだとき、「ああ、この人もまた“守ることでしか生きられなかったんだ”」と気づく瞬間がある。

キャラを“見た”だけでは届かない。
“読んだ”からこそ、感情の温度に触れられる——そんな描写が、小説には散りばめられています。

原作小説だから味わえる“行間の余韻”

小説には“声”がない。映像も動かない。
でもその静けさの中にしか、届かないものがあるんです。

『薬屋のひとりごと』の原作小説は、ときに簡潔すぎるほど淡々としている。
猫猫の心の中が全て説明されるわけでもないし、壬氏の感情も明示されることは少ない。
けれどその「書かれていない行間」にこそ、この物語の真の温度が潜んでいるんです。

たとえば猫猫が壬氏のことを「やっかいな男」と思いながらも、その言葉の裏でほんの少しだけ心を許しはじめていること。
たとえば、壬氏が猫猫に無理に笑いかける場面で、彼の呼吸がほんの少しだけ“浅くなる”描写。
どれも、説明じゃなく、余白で語られる。

読む側がその余白に立ち止まれるからこそ、自分の感情がそこに重なってしまう。
「あのとき、自分もこんな気持ちだったかもしれない」って、ふと過去の記憶がにじんでくる。

アニメが“今この瞬間”の感情をくれるものだとしたら、
小説は“かつての自分”と静かに向き合わせてくれる物語。
その行間の余韻こそが、原作小説でしか味わえない、深い“読後の孤独”なのかもしれません。

薬屋のひとりごとアニメは漫画版だとどこまで？

「漫画で読んでみたいけど、アニメってどこまで進んでたんだろう？」
そんな疑問を持つのは、あなただけじゃありません。実際、アニメと漫画の対応関係って、作品によってけっこう違うから、迷うのも当然です。

『薬屋のひとりごと』の場合、アニメ第1期（全24話）は、スクウェア・エニックス版のコミカライズ（『月刊ビッグガンガン』掲載）で言うと、だいたい8巻の中盤までに相当します。
これは、小説第2巻のラストまでにあたる部分。
つまり、「壬氏が猫猫に自分の過去をほんの少しだけ垣間見せたあたり」でアニメはひと区切りを迎えた、というわけです。

漫画版を読むと、絵柄やコマ割りによって、猫猫の「目の冷たさ」と「心のやわらかさ」のギャップがよりくっきりと感じられるんですよね。
また、アニメではテンポよく流れてしまった事件の詳細や、登場人物の表情の“溜め”が、じっくり描かれていて、物語にもう一度ゆっくり浸ることができます。

だから、「アニメを観て気になった」「もっと余韻に浸りたい」という人には、漫画で追いかけるのもおすすめです。
9巻以降から先は、アニメではまだ描かれていない新展開。壬氏と猫猫の距離感が少しずつ変化していくのも、この先の見どころになっていきます。

第1期は漫画版の8巻途中まで対応

アニメ第1期のラストが描いたのは、ちょうど漫画版（スクエニ・ビッグガンガン連載）の第8巻の中盤あたり。
具体的には、「羅漢」という男が登場し、猫猫の過去と壬氏の過去がうっすらと交差しはじめる、その“予感”のようなシーンまでです。

このあたりの展開って、派手な事件が起こるわけじゃないのに、妙に胸がざわつくんです。
たぶんそれは、「キャラクターの輪郭がくっきりしてくる瞬間」だから。
猫猫がただの“観察者”ではなく、ひとりの人間として、誰かと繋がり始めてしまう——その微細な変化が、8巻あたりからはじまっている。

漫画版では、その表情の“揺れ”がとても丁寧に描かれています。
アニメでは数秒で流れてしまう視線の動きや、言葉の選び方ひとつが、漫画ではちゃんと“溜め”として存在するんです。

だからこそ、アニメを観終わって「なんだか余韻が残る」と感じたあなたにこそ、8巻の続きを読んでほしい。
そこには、“言葉にならない続きを、絵が語ってくれる時間”が待っています。

2期の続きは漫画9巻以降を読むのが◎

アニメ第1期を観終えたあと、心のどこかが“置いてけぼり”になった気がしませんでしたか？
物語は一応の区切りを迎えたはずなのに、猫猫の視線の奥にまだ語られていない何かがあって、壬氏の微笑みもどこか取り繕っているように見えて——
その“続きを知りたい”という気持ちは、ちゃんと漫画の中に用意されています。

具体的には、漫画版の第9巻以降。
ここから先は、アニメではまだ描かれていないエピソードが次々と展開されていきます。
猫猫の家族にまつわる真実、壬氏の出自と葛藤、そして二人の関係が“誤魔化せない何か”に近づいていく空気。
どれも、8巻までとは明らかにトーンが違う。日常と非日常がゆっくりと溶け合って、「後宮」という舞台が急に“生々しい現実”に変わっていくのを感じるんです。

それはきっと、事件のスケールが大きくなったからではなく、
キャラたちの“心の距離”が、縮まってしまったから。
自分では気づかないうちに、誰かの存在が「気になる」になってしまう——そんな不確かな変化が、9巻から先には詰まっています。

「続きを追う」のではなく、「続きを味わう」感覚で、ページをめくってみてください。
そこには、アニメではまだ触れられていない“人間の温度”が待っています。

薬屋のひとりごとアニメの続きは小説と漫画どっちで読むべき？

「続きが気になるけど、小説と漫画、どっちを読めばいいんだろう？」
この問いに、正解なんてありません。
でも、“どんなふうにこの物語を感じたいか”によって、あなたにとっての正解はきっと変わってくるはずです。

もしあなたが、アニメで心を動かされたシーンを「もっと深く理解したい」と思っているなら——
登場人物の“心の声”までじっくり味わいたいなら、小説を選んでみてほしい。
猫猫の冷めた独白の裏にある微かな情や、壬氏の笑顔に滲む痛み。
それらは、文字という静かな媒体でこそ、ふっと心に染み込んでくるものだから。

でももし、物語のテンポ感やキャラ同士のやり取りを、映像に近い感覚で味わいたいなら——
漫画の方が、きっとスッと入ってきやすい。
表情の動き、視線の流れ、セリフの余白。
それらを“目で読む”心地よさが、漫画版にはしっかり詰まっています。

大切なのは、「どっちが正しいか」じゃなくて、「どっちが“いまの自分”に合っているか」。
そして、どちらを選んでも、猫猫と壬氏が歩んできた時間の“続き”にちゃんと出会えること。

物語は、選んだ瞬間から“あなたのもの”になります。
どうか、その一歩を、焦らず、自分の気持ちで踏み出してください。

小説は重厚派、漫画はビジュアル派におすすめ

小説と漫画、どっちを選べばいいか悩んだときは——
「自分は物語の“奥行き”をじっくり味わいたいのか」
それとも「感情の機微を“絵”として感じ取りたいのか」で選ぶのがいいと思います。

小説版は、とにかく“静かに深い”。
猫猫の心の動きも、壬氏の過去も、丁寧に描写されているけれど、それは決して押しつけがましくなく、読み手に“委ねる”余白が多いんです。
だからこそ、読んだあとに残る余韻が長くて重い。
読んでいるうちに、自分の中に眠っていた記憶や感情がそっと呼び覚まされるような——そんな一冊。

一方で、漫画版は“感情が目に見える”メディア。
猫猫の無表情のなかにほんの少し浮かぶ驚きや戸惑い。
壬氏がふいに目をそらす瞬間の気配。
言葉ではなく、絵の中に込められた感情の“にじみ”を読む感覚。
テンポもいいから、物語にぐっと引き込まれて一気読みしてしまう人も多いはずです。

だから、小説は「感情の奥を深掘りしたい人」に、
漫画は「感情の揺れを肌で感じたい人」に向いている——そんなふうに思います。

どちらを選んでも、そこには“猫猫という不思議な少女”の、変わらないまなざしがある。
そのまなざしに、自分の気持ちを映してみたくなったら、それがあなたの入り口かもしれません。

違いを知って、自分に合った読み方を選ぼう

どちらを選ぶか迷ったとき、大切なのは「正解を探すこと」じゃなくて、
「自分が、どんな気持ちで物語と向き合いたいか」を感じてみることだと思うんです。

“世界観をもっと深く知りたい”“キャラの心の裏側まで覗いてみたい”——
そんな気持ちがあるなら、小説を手に取るのがいい。
静かな文体の中に、猫猫の孤独や壬氏の葛藤、そして彼らが“あえて言わない感情”が、ちゃんと息づいています。

一方で、“物語の流れをもう一度味わいたい”“ビジュアルで感情を追いたい”という人には、漫画がきっとぴったり。
アニメの記憶を補完しながら、絵の表情や間の取り方から新しい発見があるはずです。

正直に言えば、僕はどちらにも心を動かされました。
小説の余韻で胸が詰まり、漫画の表情に涙がにじむ。
その“違い”は、同じ物語がくれた“別の救い”でした。

物語に触れるというのは、たぶん「自分を見つめる時間」でもある。
だからこそ、今のあなたの心に合った方を選んでみてください。
選んだその読み方が、あなた自身の感性を映し出してくれるはずです。

薬屋のひとりごとアニメ第2期は何巻・何話になる？

「第2期、どこまで進むんだろう？」
これは、物語の“先”に惹かれた人なら誰もが気になる疑問です。
そして、物語が進めば進むほど、猫猫や壬氏のことをもっと深く知りたくなる——そんな気持ちが芽生えてきますよね。

原作小説の流れから見て、アニメ第2期は小説第3巻〜第4巻あたりが中心になると予想されています。
ここでは後宮の事件がさらに複雑化し、宮廷内の権力構造や壬氏の立場が一層色濃く描かれていきます。
猫猫が“ただの観察者”ではいられなくなり、彼女自身の心の距離も少しずつ変化していくのが、この時期の特徴です。

漫画版で言うと、第9巻〜13巻前後が対応範囲となる見込み。
すでに読んでいる人ならわかると思いますが、事件そのものよりも“人間関係の歪み”や“感情の綻び”に焦点が当たってくる時期です。

アニメ第1期が、どこか“閉じられた舞台劇”のようだったとすれば、
第2期は、その舞台の裏側にある“もっと生々しい現実”を見せてくる——そんな構成になるはずです。

物語が進むごとに、壬氏の秘密も、猫猫の過去も、ゆっくりと明かされていく。
それは同時に、視聴者自身の「知らなかった感情」と出会う旅になるかもしれません。

小説3巻～4巻、漫画は9～13巻あたりが目安

アニメ第2期の内容にあたるのは、原作小説で言えば第3巻〜第4巻、
そして漫画版（ビッグガンガン連載）で言えば第9巻〜13巻あたりがひとつの目安です。

第3巻からは、猫猫が“後宮という舞台”の裏にある政治や家系、そして壬氏の出生の秘密に触れていく展開がはじまります。
それは、彼女がただの“傍観者”でいられた時間の終わりを告げる出来事でもあります。

そして第4巻では、感情の濃度が一段と高くなる。
壬氏の目線の先にあるもの、猫猫のふとした動揺、そのすべてが「人間関係の複雑さ」を超えて、“心のあり方”を問うてくるんです。

漫画版で追いたい人には、第9巻からのスタートがおすすめ。
アニメではまだ見ぬエピソードが、丁寧な構成と美しい作画で描かれています。
そして13巻あたりになると、猫猫と壬氏の関係性も徐々に輪郭を帯びはじめ、まるで“言葉にならない問い”が物語の中に浮かんでくる。

このあたりの展開は、いわば『薬屋のひとりごと』という物語が“本当の顔”を見せはじめるタイミング。
気づいたときには、ただのミステリーでも、恋愛でもなく、“誰かを知ること”そのものが物語になっている。
その感覚を、ぜひ味わってみてほしいんです。

原作とアニメの構成テンポにも注目

同じ物語でも、「どのペースで語られるか」で受け取り方は大きく変わります。
それは“テンポ”というより、“感情の余白”の問題かもしれません。

アニメ版の『薬屋のひとりごと』は、1話あたりに2〜3のエピソードがテンポよく収められ、視聴者を飽きさせない構成が魅力です。
緻密に練られた脚本、映像としてのリズム感、音楽と声優の熱量。
それらが融合することで、「わかりやすく、スムーズに楽しめる薬屋」として、多くの視聴者の心をつかみました。

けれど、原作小説に触れると——
一つの事件が、もっとゆっくりと、もっと深く掘り下げられていくのがわかります。
猫猫の分析も、壬氏の沈黙も、それぞれの意味がじわじわと染み込んでくる。
ページをめくる手が止まるその“間”にこそ、感情が育つ時間があるんです。

テンポの違いは、決して良し悪しではない。
アニメは“物語の輪郭”を鮮やかに見せ、小説は“心の輪郭”を静かに描く。
それぞれのリズムに身をゆだねながら、自分の心がどこで震えるのか、感じてみてください。

“物語を早く追いたい”ときもあれば、
“物語の中に留まりたい”夜もある。
そのどちらにも寄り添えるのが、『薬屋のひとりごと』という作品のすごさだと思います。

まとめ：薬屋のひとりごとアニメの“その先”を読むなら

アニメ『薬屋のひとりごと』を観終わったあとに残る、あの“続きを知りたい気持ち”。
それは単なる好奇心じゃなくて、「この物語のもっと深い場所に触れてみたい」という、静かな願いなのかもしれません。

もしあなたが、その続きを追いたいなら——
小説なら第3巻から、漫画なら第9巻以降が目安になります。
ここから先は、事件だけじゃなく、人と人との関係、その奥にある“感情のゆらぎ”が中心になっていきます。

そして、小説と漫画、それぞれの媒体で見えてくる世界の表情は少しずつ違う。
どちらを選んでも間違いじゃないし、どちらかしか選ばなくてもいい。
でも、自分の心にいちばんフィットする“感情の入口”を見つけてあげてほしい。

物語は、ページ数や話数では測れない。
どれだけ“心を動かされたか”で、記憶に残っていくものだから。

猫猫が言葉にしなかった感情。
壬氏が笑顔の奥に隠した真実。
そのひとつひとつを、あなた自身の言葉で拾い直してみてください。
そこには、アニメの先にしかない、“もうひとつの薬屋のひとりごと”が待っています。

小説第3巻または漫画9巻からのスタートがおすすめ

アニメの続きを知りたい——でも、どこから入ればいいのかわからない。
そんな人に、僕が一番おすすめしたいのが、小説なら第3巻から、漫画なら第9巻からのスタートです。

ここは、物語の“転機”ともいえるタイミング。
後宮の事件はより複雑に、壬氏の過去もより濃く描かれ始め、
そして何より、猫猫という存在が“誰かを想うこと”から逃げられなくなっていく。

小説第3巻からは、ページをめくるたびに登場人物たちの“裏側”に触れるような感覚があります。
漫画9巻からは、視線の揺れや沈黙の間が、まるで感情の振動そのもののように伝わってくる。

だからこそ、アニメで心が動いた人には、このあたりから続きを読むのがいちばん自然だと思うんです。
“その先”を追うというより、“その感情の続きを抱きしめる”ような読書体験が待っています。

一歩踏み出すだけで、
あの世界の空気が、またあなたの心を包み込んでくれるはずです。

原作で広がる“猫猫”の世界をもっと深く味わおう

アニメで出会った猫猫（マオマオ）は、
どこかつかみどころのない少女だったかもしれません。
皮肉屋で無愛想で、でもどこか放っておけない——そんな不思議な存在感。

でも、原作を読むとわかるんです。
彼女は“変わり者”なんかじゃなくて、“誰よりも繊細で、誰よりも自分に正直な人間”なんだってことに。

小説では、猫猫の頭の中にある思考のスピードや、言葉にしなかった感情が、じわじわと滲んでくる。
その一言の裏にある「過去の痛み」や「人を信じることへの戸惑い」が、文章というかたちで浮かび上がってくるんです。

漫画では、表情や仕草に宿る“間”が美しい。
ふと目を伏せる瞬間、手の動きが止まるとき、そこにある無言の重み。
猫猫というキャラクターが、“生きている”と感じられるのは、その細部にこそ宿る真実があるから。

原作で広がる猫猫の世界は、アニメでは触れられなかった“奥行き”の世界。
笑顔の裏にある孤独。強がりの中にある優しさ。
それらすべてが、読むたびに少しずつ見えてくる。

“知っていたはずのキャラクターが、まるで初めて会うように感じられる”。
そんな読書体験を、ぜひ味わってほしい。
猫猫のことをもっと深く好きになる、その扉が、原作には静かに開いています。